本研究室の研究プロジェクト/Projects
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「次世代人工知能・ロボット中核技術開発/次世代人工知能技術の日米共同研究開発/HDR運動解析技術に基づく組立てロボットの研究開発」
NEDOと埼玉大学は、(株)興電舎、(株)ワコーテックの協力を得て、世界で初めてハイダイナミックレンジ(HDR)力覚センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功しました。
近年、力覚センサーを搭載することで力加減を調整しながら高度な組み立てを実現するロボットが増えています。 しかし、力覚センサーの検出範囲(ダイナミックレンジ)が狭いために微小な力を計測できず、細やかな力加減ができないことが大きな課題となっています。 そのため、産業分野で省力化を進める上では、高性能な力覚センサーを使った組み立てロボットの開発と導入が期待されています。
そこで、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と国立大学法人埼玉大学は、2018年度から、高次組み立て動作の自動化を目的に、ハイダイナミックレンジ(HDR)運動解析技術に基づく組み立てロボットの研究開発プロジェクトを開始しました。 その中で、株式会社ワコーテックと協力し、微小な力から大きな力まで広い範囲で検出できるHDR力覚センサーを開発し、さらに株式会社興電舎の協力も得ることで、今般、同センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功しました。 HDR力覚センサーを搭載した組み立てロボットは世界初となります。
本ロボットは、従来の商用力覚センサーと比べて10倍となる、10g重から20kg重までの力の検出範囲を持ちます。 従来の10分の1の力まで検知できることで、樹脂素材のような傷つきやすい対象物でも、力を抑えて組み立てられます。 また、微細な力情報に基づく機械学習を用いた人工知能(AI)技術で組み立ての状態を正確に認識できるようになり、より高度な組み立て作業が可能です。 例えば、組み立て終えた時に振動が発生し、カチッと音がするクリック動作を伴う組み立ての場合には、その振動を力で検知することで、ロボットが組み立ての成功をより認識し、作業の信頼性向上を実現します。 これにより、従来のロボットの力覚センサーで行える作業に加え、繊細な力加減が必要な作業へとロボットの適用範囲を拡張することが可能になります。
今後は、特に樹脂素材や割れやすい素材の組み立て、および複数の手順で構成されるような複雑な組み立てに本技術を応用する予定です。
なお、埼玉大学は、今回開発した組み立てロボットを、12月18日から12月21日まで東京ビッグサイトで開催される「2019国際ロボット展(iREX2019)」に出展します。
紹介動画
https://youtu.be/_MhhfgEAxsIhttps://youtu.be/4MZVGqmKd_M
https://youtu.be/wMY94l8F_WU
https://youtu.be/NcrDOUlbiGg
配布資料
- Admittance Control Based on Stiffness Ellipse for Collision Force Control of Object Manipulation
- HDR6軸力覚センサを用いたアドミッタンス制御
- Trajectory adjustment for nonprehensile manipulation using latent space of trained sequence-to-sequence model(論文)
- クロスアーチ構造の導入によるHDR6軸力覚センサの小型化
- ダイナミックな技術動作を学習するロボット
- 前脛骨筋の張力を可視化するバイオフィードバック型筋力トレーニングシステム
- 組み立て作業のための力制御における剛性楕円の自律生成
- 微小な力感覚を認識するAI技術によってロボットの組み立ての信頼性向上
- Achievements on Feb.2020